昔々織姫がおりました。
織姫の織る布はそれはそれは美しく
この世の布とは思えないくらいの
綺麗な布だと評判なのでした。

その評判を聞きつけて
ある金持ちの男がやってきました。

「金ならいくらでもある。
 綺麗な布を織ってくれ。」

「それはかまいませんが
 私が布を織る間私の傍で私に
 話しかけてくれなければいけません。
 よろしいですか?」

「もちろんかまわないさっ」

男は織姫の織った布を都で高く売ろうと
思っていたのでした。

織姫は糸を紡いでいきます。

「まだか?」
「早く布を織ってくれ」
「おまえはなんてのろまなんだ」

最初は織姫におべっかを使っていた男も
姫の紡ぐのが遅いので苛々してきました。

だんだんと罵倒し文句ばかり言います。

それでも織姫は黙々と糸を紡ぎます。
ようやく布が織りあがりました。

「できましたよ。どうぞ」

「おおっやっとできたか」

喜んだのもつかの間男は激怒します。

「な・・・なんだっこのぼろ布はっ」

そうです。
男に渡された布は最初はまあまあ綺麗に織れていますが
途中からは糸もほつれてボロボロで柄もとても汚いものでした。

「こんなものに金が払えるかっ」

男は布を床に叩きつけました。

織姫は静かに言いました。

「私の紡ぐ糸は買っていく人の言葉を一緒に紡ぐのです。
 美しい言葉を出す人は布もとても美しく仕上がるのです。
 貴方は私に汚い言葉ばかりでしたね。
 だから布も汚いぼろ布に紡いでしまったのですよ。
 ですからこれは貴方の布なのです。」

そうです。
織姫は言葉も糸と一緒に紡いでいたのです。
買っていく人の言葉も紡いでいたのです。
だからとても美しくできる布ととても酷いぼろ布が
できるのでした。

ですからこの世にないような美しい布も織ることができ
この世にないようなボロ布も織ることができるのでした

コメント

wasabi
2005年12月25日19:43

メリークリスマス♪いいお話しですね。
美しい言葉を紡げる、美しい心を持ちたいものです。

つとむ
2005年12月25日21:40

すてきな物語ですね。思わず、感動してしまいました。
美しい言葉を紡げるように私もなりたいと思いました。

moon
2005年12月25日21:58

メーリークリスマス!愛している人にも美しく優しい言葉を長い間言うのは大変なことなのかも。
そんな心を持ち続けていたいけれど・・・・

こりん
2005年12月26日1:23

想いと同じように言葉も大事。
私も最近それを痛感してます。
何でも正直に、思った事を言葉にすればいい、って
もんでもないものね。
彩ちゃん、いいお話をどうもありがとう^^

にゃー
2005年12月26日2:42

(*^-’)ノ☆;:*:;☆“Merry*Christmas”☆;:*:;☆ヽ(’-^*)

いつも、優しい想いをありがとう(^^)
私も、美しい織物を織れる様に頑張るわ♪

彩
2005年12月26日8:04

wasabiさん
つとむさん
moonさん
こりんさん
にゃーさん

来てくれてありがとう。
私も日頃人を不愉快にさせる言葉が多いから
綺麗な布が織れたらいいなあと思うの。
少しずつ少しずつね。
彩

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